【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
そうか、家族のようなもの、と言ったのにはこんな意味があったのかと、妙に冷静な考えが頭を貫く。


つまり、父親が造ったヒューマノイドロボットである片岡ルイは、父親にとって息子のようなもの。娘である私は、家族ということだ。


「ふうん。データベースに入っている情報以上に感情の起伏が薄いみたいだね。その分冷静に状況が見れるみたいだけど」


「人の事を許可無く分析しないでもらえませんか?」


「思考停止、言葉の意味を解析中……」


そして、この見た目は完璧な人間のヒューマノイドは、まだまだ人間社会を分かりきってはいないよう。否定的な事を言われると解析をし始める仕組みらしい。


「やぁ、仲良くやっているかい?」


解析中で動きが止まっている片岡ルイと私に、円みのある声が降りかかり振り返ると、久々に見る、私と似た鼻の付いた男の顔。


「お父さん、これは一体どういう事態なのでしょうか?」


「うん?ルイの事だね。コーヒーでも飲みながら話そうか。あ、それとも紅茶が良い?」


何日お風呂に入らずラボに居たのだろうか、髪の毛はボサボサ、チクチク髭を生やした父は、へにゃりと顔を崩して微笑んだ。
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