【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
私を呼ぶ声が、足音が、だんだんと近付いてくるのが分かった。


「いた!あの下!」


今度は本物の光に照らされて目を細めると、そこには四人分の人影がある。


「笑里ってたまに抜けてるよなー。変なとこ落ちてんじゃねーよ!」


「でも、どうしようか。やっぱり先生呼ぶ?」


「大事になったら面倒だし、俺達だけで片岡助けらんないかなぁ」


上から聞こえる会話が、私の取り戻した喜びの感情を激しく揺する。


「アタシがギリまで手伸ばすからアンタら足首掴んでなよ。男三人いりゃ引き上げられるっしょ」


「うわぁリカちゃん、少しは落ち着けって!ちょ……」


明らかに冷静じゃないことを言う里佳子とそれを止めようとする楠本燭の声が聞こえたかと思えば、次の瞬間には。


「ぎゃあああ!イテェ!」


無駄に大きな悲鳴とガサガサと落ちてくる音と共に、気づいた時には里佳子が私の隣に転げ落ちて来ていて。


お尻を擦りながら眉を寄せた里佳子は、私の姿を見つけた途端、里佳子はキツめの顔をぐしゃぐしゃと歪め、私に飛び付いた。
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