【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
「ルイはどうする?」
「そうだね、ボクは紅茶が良いかな」
「え、ロボットのくせに飲み食い出来るんですか」
父の淹れる物は、コーヒーにしても紅茶にしても緑茶にしても、とても美味しい。
父と暮らす事になるずっと昔に、母が話していた通りだ。母が父と結婚した理由なのだと楽しげに話していた顔を思い出す。
「飲み食い出来ないと人間社会で怪しまれてしまうからね。実際に味を成分化して感じれる仕組みにもなっている。消化は流石に出来ないから、体内にタンクが造られていて取り除く事になるけど」
「へえ……なんか、凄いんですね」
その仕組みもさながら、テレビなんかで見ていたヒューマノイドロボットを裕に超えた自然な表情や体の動き、仕草、声の方が凄い事なのだけれど。
「お父さん、こんなに凄い物が作れるなら公表すれば良くないですか?何でまた、普通に人間として機能させてるんですか?」
「そうだねぇ、うーん。ルイはそういった目的で造り出した子じゃないからかなぁ」
困ったように微笑む父の言葉は、やはり私には聞いたところで理解出来ない。