【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
恋心マジェスティック
修学旅行の一件が終わり、いよいよ寒さが本格的になって来た季節。
今日は、燭の流鏑馬を観に、鎌倉へと足を運んでいた。
あの一件から、修学旅行が終わっても自然と五人で行動することが多くなった私達。
呼び方もルイや里佳子だけが名前呼びだと不平等だという成の一言で、皆が互いを下の名前で呼び合うようになるほど私達は親密になっていた。
罪を犯した私にとっては本当にこれで良いのかと悩んでしまうところもあるが、欲深いのかな、私は名前で呼べる存在を素直に喜び、手放したくないとすら思っている。
「鎌倉ってあれだよな、何か人気だった番組の家があるとこっしょ?」
「知らねーよ!成、お前中途半端なテレビっ子だよな」
寒さの中でも相変わらず元気な里佳子と成は、大きな声でぎゃあぎゃあと話している。
「エミリ、寒いの?鼻の頭が赤くなっているけど」
「少しだけ。大丈夫ですよ。ルイには寒さや暑さを感じる設定は無いみたい。平気そうですね」
その二人の後ろを歩く私とルイ。ルイは秋物の灰色のニットにスキニーパンツとブーツを履いてはいるものの、おそらく防寒の必要もなく、実際は半袖短パンでも平然と歩けるだろう。