【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
ルイの扱いは父とルイと私との話し合いで、父の歳の離れた従兄弟の孫で、所謂、遠い親戚だから会うのはあの日が初めてだったという設定に決めた。
突然現れた美貌の少年に近付きたくて、今まで無い物としてみなしていた私に取り入ろうと、クラス外からも女の子がやって来る。
しかし、基本的に爆音の世界に居る私は誰が目の前に来ようとさほど興味を示さない。
そう言った私の態度は、同性からの印象が良い筈も無く、どうやらコソコソと陰口を叩いているようだ。
でも、それならまだ可愛いもの。陰口が私に与えるダメージはゼロだし。
十人十色という言葉が正にこのことか、中には乱暴な人間がいるのがこの学校という社会で。
「お前、人の話聞けよ!前から思ってたけどその澄ました顔ムカつくんだよ!アタシらの事馬鹿にしてるだろ?」
以前から嶋山成に構われている事が気に食わないのだろうか、私を邪険にしていたクラスメイトの御堂里佳子(みどうりかこ)が私の耳から力任せにイヤフォンをもぎ取った。
乱暴で横暴、気に食わない者に対しての制裁が酷い。だけど力があるから誰も逆らえない、リーダーグループのボス的存在が彼女だ。
彼女の一言で取り巻きは動き、世界の歯車は動き出す。独裁者、女王様、正に、そんな言葉が似合うだろう。