【完】Ｒ・Ｕ・Ｉ〜キミに、ひと雫を〜
「要は赤点取らなきゃいい訳！追試と補習逃れて、冬休みは五人で遊ぼーぜ！」


この考え方が決して正しいとは思えないけれど、成はそうしていつも、この先の楽しみの為に今を全力では生きない人で、抜き方が上手いというのが正しいのか、とにかく、それが羨ましく思える。


「ナルはIＱは高そうだよね、ずる賢い」


「ルイ言い方ヒデー！でも確かに小学校の時は高かったかもしれないなぁ」


何でもない朝の会話。それをふわふわを続けているうちにいつも通りの学校生活が始まる……筈だったのに。


「え、ちょ、これ……何事？」


あまりにも異様な雰囲気に教室に入る事も出来ずに思わず本音をポロリと零したのは成で。


倒れた机、取り囲むクラスメイト。その中心には、里佳子と、里佳子を嫌う現リーダーグループ女子の四人。


原因は兼ねてからの態度と、燭への恋心だろうか。


「ねぇ、ほんの少し前まで友達だった人達が壊れてしまう程、恋心って大切なもの？」


ルイの疑問は、ヒューマノイドロボットでない私や成にだって、答える事は出来ない。


純粋なルイの目に映る光景に対しての正しい答えを導く事は、多分、誰一人出来ないのだ。
< 152 / 369 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop