【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
激昂エモーショナル
教室は、主に二人の放つ声や音以外静寂に包まれている。
「ずっとムカついてたんだよね!アンタ、女王様気取りで独裁者で、誰にも好かれてないの気付かなかったの?」
「ハァ?アタシがいつ独裁したっつうわけ?アタシが誰かハブれとか言ったことあんのかよ?ねぇだろ!?お前らが勝手にやってたくせにアタシのせいにすんなし」
里佳子の言う通りだ。私も最初はあの子達と同じで里佳子は独裁者だと思っていたけど、実際はそうじゃなく、取り巻きのあの子達が里佳子を独裁者に仕立てていただけだ。
里佳子はいつだって、良い意味でも悪い意味でも素直なだけ。それをはっきり言っていただけなのだ。
だけど、里佳子の言う事を聞かないと次は自分だという恐怖にあの子達は一番近くで怯えていた。それに気付かないで友達ごっこをしていた里佳子に非が無いとも一概に言い切れない。
私は彼女の言う『ダチ』として最低なのだろうか。
私の真実を知って尚支えてくれる里佳子を100パーセント味方出来ないでいる。そんな私はやはり人として欠落しているのかもしれない。
「どうせ一緒にいた時だって見下してたくせに!私が誰を好きかずっと知ってて、当て付けに今一緒にいるんでしょ!?」
「そ、れは!お前の僻みだろ!アタシは別に」
ヒートアップする言い争いの殆どは相手の勝手な被害妄想でしかない。けれど、里佳子の素直さがそれを引き起こした。やり場の無い不満を溜めさせていた事には違いない。