【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
目を覚ますと、最近見たばかりの白い天井と、薬品の香りに包まれていた。
そう言えば、修学旅行の前にも保健室で寝ていた事があったっけ。
ルイが生まれてから、どうにも体調が優れない事が多い。それはルイのせいではなく、私が感情や罪の真実について思い出そうとし始めたからだろう。
ベッドからするりと抜け出して時計を確認すると、もう昼前。昨日の夢のせいで体が疲れていたのか。はたまた、思い出しかけた何かの感情のせいなのだろうか。
そうしてぼんやりとしているうちに保健室のドアが開き、温かく篭っていた部屋に外の冷気が混ざり合い、少しだけ肌が粟立った。
「おう、起きてたんだ。大丈夫か?昼飯笑里の分も預かって来たから、ここで食おうぜ。先生不在みたいだし」
「成……ありがとうございます。他の皆は?」
朝のあの顔が忘れられないせいで、成の人懐こい可愛らしい顔が直視出来ない。
「あの騒ぎのせいで里佳子とアイツは帰されて、三日間謹慎処分だと。ルイは燭に里佳子との事とかを事情聴取。まぁ俺には言いにくくても、ルイならロボットだから秘密がポロッとうっかり外に出る事は無いしなー」
簡潔にそれぞれの事情を説明し、購買の焼きそばパンを頬張る成の目はいつも通りキラキラしていて。
正直、朝の出来事云々より、私は成のあの何かスイッチが入って別人格になったようなあの顔の方が気になって仕方が無い。