【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
「ボクのサーモグラフの数値が間違ってなければ、彼女、また温度が上がっているよ」


「分かったので、少し黙ってくれませんか?」


無表情に首を傾げるルイに、返す言葉もみつからず溜息を落とした私は、爆音の世界へ戻る気にもなれず音楽プレイヤーをオフにする。


「はっ……!はははは!ルイ、お前ロボットみてぇな事言うのな!面白!」


さっきまで凍っていた空気だったが、嶋山成がルイのリアクションにお腹を抱えて笑い出す。


それを皮切りに、教室全てが笑いに包まれたのだが、ルイにはこの状況が飲み込めないらしく、またこてん、と首を横に傾げた。


「いや、ボクは……思考停止、状況分析中」


この調子だと、ルイが本当にヒューマノイドロボットだということが早期にバレてしまいそうな気がしてならない。


このヒューマノイドロボットルイは、性能こそハイスペックだけれど、まだまだ人間社会においては生まれたばかりの赤子同然なのだ。
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