【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
お昼からの二時間だけ授業を受け、どうにも気分が優れないまま帰り支度を整える。
いつも猫背気味につまんなそうに授業を聞く里佳子の姿が無いのが、何だか違和感を覚える理由なのだろう。
「成、ルイ、燭に笑里ー、ちょっとこの後俺と話そうかー」
クラスメイト達が帰って行く中、美樹に引き止められた私達は、帰りのホームルームを一人ジェンガをしながらダラダラ聞き流していたその人をじっと見つめる。
「まぁ色々勃発しちゃった後なんでとりあえずねぇー」
「ミッキークラスの歪に気付いてた感じじゃん。ちょっとー、ちゃんと仕事してよ」
そのあまりの緩さに苦笑いの成の発言に呼ばれた全員が共感したものの、言った本人は物理の教科書で叩かれている。
このメンバーが呼び出されたのは、おそらく、今朝の事と関連した話があるからだ。
美樹について行く私達は、そのノロノロ歩く教師らしからぬ丸まった背中に、意に反して鋭い事を言われるのに少し怯えていた。