【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
「まずは、ボクがこのクラスに入り込んだ事だよね?ミキセンセー」


「そ。ルイの存在はでかいね。まぁこんな綺麗な顔の転校生が現れりゃ、脆いピラミッドは揺るぐだろーな」


美樹は外側に書いた黒丸の隣に星のマークを書き込み、今度はピラミッドのトップに二つ、最下層に一丸を書き足す。


それは言わずもがな、成、里佳子、燭を現していた。


「で、このちっぽけな社会のトップが二人、現れた異質とそもそもあった異質、それから最下層の物質を吸収して新しい物質を造り上げた。この物質は、どこへでも飛ぶ新しい物質だな」


物理の教師らしい説明の仕方で私達を表した美樹は、一本目の煙草を空き缶に押し込み、二本目に素早く火をつける。


「このうようよはあまりにも眩しい太陽になりつつある。このちっぽけな社会の住人にはな。そもそもこの社会のトップだった存在に、新たな光と、誰しもが異質な扱いをしていた綺麗な見た目の存在、それから、最下層に眠っていた鉱物が、最近眩い光を突き刺している」


「あの……そう言われると気恥しいから申告しづらいんですが、眠っていた鉱物は、俺ですか?」


「話の流れ的に燭しかいないだろう。まさかの隠れイケメンが判明してから、地味男から落ち着いたイケメンに大躍進。今や成よりモテてるだろー?修学旅行以降、何人に告白された?」


普通の人間ならニヤついてからかうようい言いそうな質問をやたら無気力に投げ掛ける美樹に燭は眼鏡を上げて黙秘権を行使する。


その燭を少し不機嫌そうに一瞥した里佳子を見ていないようでぬるりと見た美樹の目線を、私は見逃さなかった。
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