【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
私の言葉に対して、里佳子は嫌悪感をストレートに表したような顔をした。


「お前に言われっちまうと返しづらくなるのが狡いよな。いいか笑里、言葉は武器だ。特にアタシみたいなタイプの言葉は大概人を傷付けちまうんだよ」


ストレートにしか物が言えない里佳子らしい考え方だ。そうして中学時代も今回と同じような事になり、友達がいない事を痛感した里佳子は気まずくても、距離が遠くなってしまっても、燭を失いたく無いのだ。


でも、里佳子の言葉の全てが武器になってしまうなんて事は私は思っていない。それを、私も真正面から伝えたい。


「里佳子の言葉に私は傷付きませんでしたよ。ダチだと言ってくれた里佳子の言葉は、とても嬉しかった」


私の罪を知って泣いてくれた里佳子も、離れなかった里佳子も知っているのに、傷付く訳が無いじゃないか。


真っ直ぐに里佳子を見つめると、里佳子は顔の中心にぐちゃぐちゃに皺を寄せて、今にも泣きそうな顔をした。


「何だよ!相変わらず澄ました顔でムカつくのにめっちゃキュンキュン来た……!お前の方が大変なくせに、何なの!」


遂に泣き出した里佳子は、怒っているから泣いているの?悲しいから泣いているの?私には、どうしても分からない。
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