【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
「リカコは、嬉しいから泣いているんだ」
「え……ルイ?」
「どうして泣いているのって顔をしていたから答えたんだ。ボクは、蓄積したデータから言ってるんじゃない。ボクも同じだからそう思う。ボクは、君に触れると嬉しくて、泣けるんだ」
ルイはまるで木漏れ日のように柔らかく微笑むと、ソファーに置いていた右手の小指に、自分の小指を絡めた。
「ほら、ね?」
キラキラと瞬きながらこぼれ落ちるルイのひと雫。柔らかであどけなく、美しいルイの顔に良く似合う綺麗な宝石のよう。
「……あー、やっぱり、俺はもうリカちゃんの傍にいなくても、大丈夫なのかなぁ」
向かい側のソファーの、里佳子と成の奥に座る燭が、ずっと黙っていた彼が、まるでため息を漏らすように呟いた。
浮かべた微笑みは、悲しそうなのに嬉しそうで、何て満足そうなのだろうか。
「言葉にしないと分からない事もあるよね。俺は、笑里ちゃんの言う通り、それが出来るのにして来なかった。臆病だから」
胸の奥にストンと座り込まれるような安心感のある一定の低音の燭の声は、決して大きくない。だからこそ、ここにいる全員が燭の放つ音を聞き漏らさないよう、神経を尖らせた。
「もう誰にも隠すつもり無いから、俺から話してもいい?俺の気持ちも込めて。言葉は武器じゃない事をリカちゃんに理解して欲しいから」
おそらく、里佳子が嫌だと言っても燭は全てを話すのだろう。眼鏡の奥の真っ黒な瞳は、決意で深さを増している。
「え……ルイ?」
「どうして泣いているのって顔をしていたから答えたんだ。ボクは、蓄積したデータから言ってるんじゃない。ボクも同じだからそう思う。ボクは、君に触れると嬉しくて、泣けるんだ」
ルイはまるで木漏れ日のように柔らかく微笑むと、ソファーに置いていた右手の小指に、自分の小指を絡めた。
「ほら、ね?」
キラキラと瞬きながらこぼれ落ちるルイのひと雫。柔らかであどけなく、美しいルイの顔に良く似合う綺麗な宝石のよう。
「……あー、やっぱり、俺はもうリカちゃんの傍にいなくても、大丈夫なのかなぁ」
向かい側のソファーの、里佳子と成の奥に座る燭が、ずっと黙っていた彼が、まるでため息を漏らすように呟いた。
浮かべた微笑みは、悲しそうなのに嬉しそうで、何て満足そうなのだろうか。
「言葉にしないと分からない事もあるよね。俺は、笑里ちゃんの言う通り、それが出来るのにして来なかった。臆病だから」
胸の奥にストンと座り込まれるような安心感のある一定の低音の燭の声は、決して大きくない。だからこそ、ここにいる全員が燭の放つ音を聞き漏らさないよう、神経を尖らせた。
「もう誰にも隠すつもり無いから、俺から話してもいい?俺の気持ちも込めて。言葉は武器じゃない事をリカちゃんに理解して欲しいから」
おそらく、里佳子が嫌だと言っても燭は全てを話すのだろう。眼鏡の奥の真っ黒な瞳は、決意で深さを増している。