【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
里佳子は気の強そうな顔に心の痛みを滲ませ、そして下を向いた。
その行動を合図に、燭は再度悲しい微笑みを浮かべ、テーブルの上のビニール袋からほうじ茶のペットボトルを取り出した。
「好んでジュースは飲まない。買うのはいつもお茶で、その中でもほうじ茶が一番好き。特別話した事も無いのに、リカちゃんは知っているんだ」
ペットボトルの蓋を、流鏑馬で弓を扱う繊細な指先がくるりと空けた。
そんな訳が無いのに、そのペットボトルから燭の溜め込んできた言葉が溢れて来そう。
「この場では、成にはまだ話していなかったよね。俺とリカちゃんは、この学校から一時間半も電車に乗らないと帰れない、遠くの小さな市、同じ町内の斜向かいに住む、幼馴染みだ」
幼馴染みであるというのは聞いていたが、そこまでの事は初めて聞いた。
最も、私は起きた事や関係性を里佳子の『独り言』として一通り聞いただけだ。
思慮深く穏やかに、燭の口からしっかり聞くと、過去や関係性が違う色で見えるような気がする。
燭の言葉は武器にはならない。まるで楽器のように、しっとりと、そしてどっしりと内部に座り込むようなもの。
その行動を合図に、燭は再度悲しい微笑みを浮かべ、テーブルの上のビニール袋からほうじ茶のペットボトルを取り出した。
「好んでジュースは飲まない。買うのはいつもお茶で、その中でもほうじ茶が一番好き。特別話した事も無いのに、リカちゃんは知っているんだ」
ペットボトルの蓋を、流鏑馬で弓を扱う繊細な指先がくるりと空けた。
そんな訳が無いのに、そのペットボトルから燭の溜め込んできた言葉が溢れて来そう。
「この場では、成にはまだ話していなかったよね。俺とリカちゃんは、この学校から一時間半も電車に乗らないと帰れない、遠くの小さな市、同じ町内の斜向かいに住む、幼馴染みだ」
幼馴染みであるというのは聞いていたが、そこまでの事は初めて聞いた。
最も、私は起きた事や関係性を里佳子の『独り言』として一通り聞いただけだ。
思慮深く穏やかに、燭の口からしっかり聞くと、過去や関係性が違う色で見えるような気がする。
燭の言葉は武器にはならない。まるで楽器のように、しっとりと、そしてどっしりと内部に座り込むようなもの。