【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
その光景に、もう悲しい微笑みではないいつもの穏やかな笑みを浮かべた燭が里佳子と向かい合った。
「彼等が俺達を拒んだりはしないよ、絶対に。自分の罪を打ち明けた笑里ちゃんが、自分の秘密をかえりみず彼女と君を助けたルイが、こんな俺達を集めた成が、見捨てたりしないよ」
ああ、何て甘やかで優しい声なのだろう。相手を特別に思っているのが声だけで伝わる。
燭の言葉は武器にはならない。相手を傷付けないように研磨され、すっと胸の奥に入り込むし、聞かせる事の出来る言葉だと思う。
里佳子が大人しく座り直したのを横目で確認した燭は、言葉を再度紡ぎ出す。
「そうやって俺とリカちゃんは近過ぎる距離で一緒に歩んで来た。でも、それが原因でリカちゃんを傷付ける事になってしまった」
過去を振り返る燭の目は伏せられ、長い睫毛が目元に影を落とす。
その物寂しい表情を隠すように眼鏡を掛け直し、震えながら溜息を落とした燭は、私達と同じ十七歳の男の子だとは到底思えないくらい、その存在がハッキリと形成されていた。
「彼等が俺達を拒んだりはしないよ、絶対に。自分の罪を打ち明けた笑里ちゃんが、自分の秘密をかえりみず彼女と君を助けたルイが、こんな俺達を集めた成が、見捨てたりしないよ」
ああ、何て甘やかで優しい声なのだろう。相手を特別に思っているのが声だけで伝わる。
燭の言葉は武器にはならない。相手を傷付けないように研磨され、すっと胸の奥に入り込むし、聞かせる事の出来る言葉だと思う。
里佳子が大人しく座り直したのを横目で確認した燭は、言葉を再度紡ぎ出す。
「そうやって俺とリカちゃんは近過ぎる距離で一緒に歩んで来た。でも、それが原因でリカちゃんを傷付ける事になってしまった」
過去を振り返る燭の目は伏せられ、長い睫毛が目元に影を落とす。
その物寂しい表情を隠すように眼鏡を掛け直し、震えながら溜息を落とした燭は、私達と同じ十七歳の男の子だとは到底思えないくらい、その存在がハッキリと形成されていた。