【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
ルイが来て怒涛だった二ヶ月もの時間。それはあっという間に過ぎ、気が付けば十二月。
今後の進路に大きく左右する期末テスト前で、十二月に入ってから周りはそういった意味でピリピリし始めていた。
「だー!どうにも勉強は苦手だ!授業なんぞ体育だけで良いのに!」
「とりあえず里佳子は全教科赤点回避が目標だよなぁ、あ、俺も赤点ギリギリのあるけどー」
「それは良いんだけどねー、生徒諸君。俺の部屋をたまり場にするのは止めて貰えないか?」
テスト期間前の放課後、勉強会をしようという成の提案に乗った私達五人は、人気の図書室や人目のつく教室を避け、美樹の城で勉強会を決行する事にしたのだ。
「美樹先生諦めた方がいいと思いますよ。クラスの平均点がリカちゃん一人良くなる事でぐっと上がるんだから」
「あー、そりゃ違いないなぁ。しょうがない。下校時間にはちゃんと帰ってくれよー。俺はあそこで寝る」
燭に上手く丸め込まれたというのか、単に面倒になったのか、美樹はのそのそと歩いて奥のデスクに突っ伏して寝てしまった。
「何気に失礼だよなお前。馬鹿なら成も一緒だろうが」
自分をダシに使われたのが気に入らなかったらしい里佳子は、チッと舌打ちして渋々英語の教科書を取り出す。
言われ放題の成の方は、それを気に留めるでもなく同じく英語の単語を変な顔をしながら眺めていた。