【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
熱に支配された意識は、白い世界を漂っていた。ああ、これは夢。真っ白な夢。
きっと熱のある私にルイが寄り添っている。ルイが傍にいる時にしか夢を見る事は無いのだから。
夢の中なのに思考は妙にクリアで、ただただ真っ白なここは少し変だ。
そう思っているうちに、その真っ白が箱になり一人の少女の姿が真っ白な箱と同じ色のベッドの上にいる姿が現れた。
やはりそれは私だ。それも、ごく最近の私に近い気がしてならない。顔立ちも少し幼さがあるが今とそう変わらないように見受けられる。
ルイが見せているようなその夢には毎回の事ながらおもちゃのロボットが傍らに座っており、今回もまた然り。
しかし、そのおもちゃのロボットは前回の夢の時より傷だらけで色褪せて、機能しているようには到底思えない。
全てが真っ白なその箱の中は、やけに居心地が悪い気がする。
なのに、少しだけ幼い顔立ちの私はまるで糸の切れた操り人形のように微動だにせず、少し項垂れたような形で能面のように、ただただ息をしているだけ。
何て冷たい真っ白な箱だ。早くこんな夢から覚めれば良いのに。