【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
「お前案外バカだよな!体調悪いくせについて来てんじゃねーよ!」
「う、真冬にそんな薄着のお馬鹿な里佳子にそんな事を言われるのは心外です」
夕方十七時。成の家へと向かうべく学校近くのバス停に集合した私達。
厚着にマスクと完全防備な私を見た、対象的に薄着の里佳子は第一声、眉毛を吊り上げて私に大きな声を放った。
「もー、リカちゃんだって何となく予想してたでしょ?笑里ちゃんが来ちゃうの」
「そりゃあ……でも、そんないかにも体調悪いみたいな顔してる奴、心配しない訳ないだろうが」
口が悪くても、里佳子なりに私を想って言ってくれているのは分かっている。だけど、今は私の事より成の方が心配だ。
「私の体調が悪化したら目いっぱい、成を罵倒してやりましょう。その為にも、今の状況を打破しなくてはいけませんね」
「お、おお……なんか、涼しい顔は変わらずムカつくけどさ、笑里お前、変わったな」
言い方は悪いけど、微笑んでくれている里佳子に私も頬を緩める。
「はは、笑い方下手くそ。やっぱりアイツがいねぇと皆上手く笑えないよな。怒鳴ってやらないと気が済まないよな」
「ええ、そうですね」
皆の纏う空気がどことなく寂しいのは、私達を照らす太陽がいないから。だから、太陽は私達が自ら取り戻す。出来れば、今皆が感じている嫌な予感は全て予感で終わってしまう結果で。