【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
偶然だとは思いにくい。これまでの成の発言、私が見た夢、ルイが調べた成の身辺。
「成の過去は、本当に私が忘れてしまっている部分には大切な鍵かも知れません。そして同時に、彼にとっては剥がしたくないのに治らない瘡蓋のような、そんな物」
語るのに覚悟がいると言った成の悲しい色をした笑顔が、私の脳裏に焦げ付いて、離れない。
自分に腹が立つ。その瘡蓋を、成はきっとルイが現れる前からずっと剥がそうとしてくれていた。ずっと私にコンタクトを取り、膿が、血が出てくる事を嫌がらずにその瘡蓋を引っ掻いていたのにようやく気付くなんて。
腹を立てても不毛なのは分かっているけど止まらない。昂る想いを何とか抑える為に、私は自分の左手の甲に、右手の爪を突き立てた。
「バカ、イテェだろ!お前、自分を責めてもしょうがねぇだろうが。アイツは自分でその瘡蓋ってヤツを剥がそうとしてんだよ。お前は頼んでねぇし責任感じる必要ねぇ」
それに気付いたのは私の隣にいた里佳子。爪を立て、赤い跡が残る手を強引に引っ張り包んだ里佳子の手は、彼女の性格に似合わず柔らかく女の子らしい。
「成の過去は、本当に私が忘れてしまっている部分には大切な鍵かも知れません。そして同時に、彼にとっては剥がしたくないのに治らない瘡蓋のような、そんな物」
語るのに覚悟がいると言った成の悲しい色をした笑顔が、私の脳裏に焦げ付いて、離れない。
自分に腹が立つ。その瘡蓋を、成はきっとルイが現れる前からずっと剥がそうとしてくれていた。ずっと私にコンタクトを取り、膿が、血が出てくる事を嫌がらずにその瘡蓋を引っ掻いていたのにようやく気付くなんて。
腹を立てても不毛なのは分かっているけど止まらない。昂る想いを何とか抑える為に、私は自分の左手の甲に、右手の爪を突き立てた。
「バカ、イテェだろ!お前、自分を責めてもしょうがねぇだろうが。アイツは自分でその瘡蓋ってヤツを剥がそうとしてんだよ。お前は頼んでねぇし責任感じる必要ねぇ」
それに気付いたのは私の隣にいた里佳子。爪を立て、赤い跡が残る手を強引に引っ張り包んだ里佳子の手は、彼女の性格に似合わず柔らかく女の子らしい。