【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
燭の示した通り、最短ルートを全速力で走ったルイの動きが止まったのは、目の前の映像がピタッと静止した事により私達にも分かった。


画面上には、私達の前に立ちはだかったものと同じ白い壁が、月光に照らされて不気味に青光した姿。


ルイが首を動かすと、画面がゆるりと動き、窓に外付けされた小さなデッキに立つルイの足元が映し出された。


「ここに間違いなくナルの気配がある……行くよ」


タブレットから、今度は人間臭い、緊張感のあるルイのハイトーンボイスが響き渡り、私達三人も固唾を飲んで各々頷いた。


ルイの呼吸ごとタブレットから感じ、私達の空気もいよいよピリピリする。


視界が窓を捉え、次にルイの真っ白な手が映像に映り、その手が窓を三度、ノック音を響かせた。


「ナル、起きて。ここを開けて。……ボク、ルイ、だけど」


ルイのハイトーンボイスに対し、数秒待っても返事は無い。


画面は切り替わり、サーモグラフィーの指数が確認出来るものになるが、その熱は音に対し一向に反応する気配も無く、そこに存在するだけだ。


ルイがそっと窓のフレームの間にカメラの焦点を合わせた。全員が、息を呑む。
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