【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
「このまんまじゃ埒も明かないし?後二人ぱっぱと決めちゃおーぜ!クラスメイトなんだから誰でも楽しいじゃん?」


嶋山成の鈴の鳴るような優しい声と、クラスメイトの中ではどちらかと言うと幼く甘い顔がキラキラと笑い出すと、不穏な空気は途端に和やかになる。


おそらく、下心のあるクラスメイト、特に女子は、嶋山成とルイの組み合わせに、私が居る事は最早どうでも良くて同じ班になりたいと思っているのだろう。


嶋山成に指名されたくてうずうずしている人間なんて、ここには沢山。まるで、それが一種のステータスみたいに思っている。


「んー、せっかくだからあんま絡んでない奴が良いよなぁ……楠本!嫌じゃなきゃどう?」


そして、今日の嶋山成はどうも暴走しているよう。指名されたのは、誰もが思っていなかった人物。


「俺は別に、どうでも」


「おっけ!じゃあ男子は決まりなー。女子は、うーん、この班だと静か過ぎるからなぁ」


嶋山成に指名されなかった取り巻き達は、がっかりした顔をしているよう。


一方、私と楠本燭なんて最悪なメンバーでも、嶋山成やルイと一緒の修学旅行を期待する女子達はまだまだ希望を捨ててない。
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