【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
「ドウリョクテイカ、コレヨリ、キョウセイスリープモードニトツニュウ……」


おそらく 昨日から、ルイは電力を消耗する事を続けて来たうえに、その電力を充電する暇も無かったのだろう。


「お疲れ様。一先ず……お休み」


泣いて、笑って、怒って、そんな動作の全部がルイにとっては私達より消耗する物。


急速に動く身体と緩やかに覚える感情に、目まぐるしい時間を過ごすルイが、この優しく美しい生命体が、少しでも休息出来る時間を、私は作る事が出来るのかな。


「君は、私にどんな言葉をくれようとしたの、ルイ?」


天使のように眠ってしまったルイからは、勿論答えが帰って来る事は無い。


多分、今すぐに知らなきゃいけない言葉じゃなかったのだろう。それでも、私は最後まで『聞きたかった』のだと思う。


ああ、私の心にも、君が手に入れた物が取り戻ろうとしているんだね。


「ルイ、君の言葉がもっと、もっと『聞きたい』と思うよ。まだぼんやりしてるけど、確かにそう……」


テーブルに小さな頭を預けて眠るルイの額に私も同じようにテーブルに頭を預けてすり寄れば、懐かしい香りが鼻腔を伝い、身体から力が抜ける。


お休み。君が欲した全てをを私が取り戻すまで、ほんの一時の休息を。
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