【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
目を覚ますと、私のではないベッドに横たわっていた。
「ごめんなぁ、体調悪いのに俺の為にずっと気張ってたんだよな。ルイもスリープモード入るまで頑張ってくれたみたいだし、里佳子や燭だって……」
「成……あ、ごめんなさい。私、いつの間にかリビングで寝てて」
もしかしなくても、客室にボロボロの成が運んでくれたのだろう。ルイの方も、気の回せる成の事だからラボの父親に任せてくれた筈。
「私のせいで寝れてませんよね?ごめんなさい。あの、すぐどきますから横になって下さい」
「あはは、大丈夫。笑里運んでからもう五時間経ってんだぜ?その間に、お前の父ちゃんのラボで酸素カプセルに寝かしてもらったから割と元気。もう寝れないよ」
そうか、ラボには研究でなかなか長時間眠れない父の酸素カプセルがある。二時間も入れば疲れは取れると聞いた事があるから、それなら一安心だ。
「ルイも多分もうすぐ充電終わると思う。笑里は?もう平気?」
「ありがとうございます、大丈夫です」
そもそもただの風邪だったのだ。薬も飲んだし休息にも充分な時間を貰ったから、身体のだるさは無くなっている。
私の言葉が嘘じゃないのが伝わり、成はふわりと微笑んだ。それは、夢の中の男の人に似ていた。