【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
だからこそ一つ、湧き上がる私の我儘を成に受け入れいて貰わなければならないと、心から思う。


「私はそれをルイが、来るべき時に私達に話してくれると思っています。だから、それを待とうと思います。ちゃんと『知りたい』から」


「笑里、ねぇ、今の……」


呼吸をするように出た言葉は、私が『望む事』を、『欲する事』を、その希望に未来への『楽しみ』を描けるようになった証拠。


もうぼんやりしていない。身体の底から感情が湧き上がる。


「この感情は何て軽やかなのでしょう。今なら空でも飛べる気がします」


「ははは、何かルイがいるからそんなに非現実的でも無い気がする。アイツジェットでも付いてそうだし?」


比喩表現だったのに、妙に真面目に答えが返って来たものだから、我慢出来ずに今度は声をあげて笑ってしまう。


「え?何?俺何か変な事言ったかな?」


「ひっ……!ごめんなさい。だ、だい、大丈夫で、ふはは!」


ほんの少し前までの私に教えてあげたい。腹の底から笑う事が、疲れるけれどこんなに幸せだと言う事を。
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