【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
里佳子と燭は思っていた以上に大量のご飯を持って家へやって来た。
「いやぁ、リカちゃんとこのおばさんが張り切ったせいで、家のお母さんも張り切っちゃってさ。食べれるかな?」
「おおお唐揚げ!里佳子の煮物も美味そう!俺自分ちであんま食べれないから昼めっちゃ食べるせいで大食いだし、残さす食うよ!」
料理中のルイの代わりに二人を出迎えた成は、食料を二人から受け取ると小走りでキッチンの方へと向かって行く。
「あはは、すっかりいつもの成だ。やっとホッとしたよ」
「ホントだな。あんなアホを一瞬でも綺麗な存在みたいに思ったアタシが恥ずかしいよ」
ずっと心配してくれていたらしい二人は、拍子抜けしてしまうくらいに元気な成の姿に肩の力が抜けた様子。
「……おい笑里、なんで笑ってんだ」
「ふふ、いえね、里佳子が成を綺麗なものだと思ったなんて言うから。里佳子が、成に」
わざと意地の悪い事を返せば、里佳子は元々吊り上がった目と眉毛を限界まで吊り上げて顔を真っ赤にして行く。
本当は、どんなに苦しくても最後まで付き合ってくれる優しさが嬉しくて笑ってしまったのだけれど、それを言ってしまうのはあまりに素直過ぎるから、たまには私も『良い性格』な返しをしようなんて、そう思ったんだ。