【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
球技大会当日、各種目ごとにそれぞれの場所に別れ、私達は第二体育館に来ていた。
「ルールは1セットマッチ。ローテーション有りのリベロルール無し。まぁ全学年ごちゃごちゃだし、変則ルールにもなるよね」
私達の試合は二年生の二つ目からだからまだまだ先で、余裕綽々のルイは、冷静に分析しながらバレーボールの動きをインプットしているよう。
他のバレーボールのクラスメイト達は時間があるからと各々他の応援に行っているようだが、私達五人は何となく体育館の二階でダラダラと過ごしている。
「まぁ男子はルイがいりゃ百人力だろうよ。お前、どうせプロの動きインプットしてきたんだべ?」
「ジャンプサーブ打てるくらいにはね。流石にやり過ぎたらまずいからこっちが不利になったらやらせて貰おうかと思っているよ」
予想通りの答えというか何というか。その答えに里佳子はお手上げポーズを取って首を横に振った。
「まじで!?昨日リビングでやけに動かないと思ったらそんなのインプットしてたの!?見たい見たい!」
「じゃあ外に出る?全力のお見舞いしてあげるよ、ナル」
「う……やっぱり遠慮しとくわ」
ルイの笑顔の奥の目がやけにぎらついているのに背筋を凍らせた成は、縮こまって隠し持っていたチョコレートを食べ始める。
こういうやり取りや表情を見ると、ルイは日に日に人間臭くなっていると強く感じる。もしかしたら、私なんかよりずっと。