【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
「何が起きた!?」


「わ、分からないんだ。本当についさっきまで普通にしていたのに、急にがくんと崩れたと思ったら……」


慌てて里佳子の後を負い、人だかりが出来ている中心へと入ると、そこには完全に停止した、ルイという生命体の抜け殻のヒューマノイドロボットが座り込んでいる。


「成、美樹先生をいつものあそこに呼んで。俺がルイを運んでおくから。リカちゃん、エミリちゃんは試合だろう?とりあえず後からこっちに来て」


「お、おう……分かった」


燭の的確な支持で先に動き出した成と、ルイを背負って走り出す燭。


「笑里、一先ず試合だ。ルイのこたぁ美樹がいりゃ大丈夫だから」


野次馬に聞こえないように囁いた里佳子の言葉さえ、耳からすり抜けてゆく。


ルイが、傍にいると言ったルイが、地球上で一番遠くなる。嫌な運命がずぶずぶと、私を飲み込み喰い尽くす。


こんなの冷静でなんていられない。ルイが私から離れて行く。まるで小さな幸福に満たされた私を嘲笑い、私から奪うあの黒い影のように。
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