【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
里佳子の握った拳がふるふると震えているのが分かった。その震えに滲む感情は、悔しさと、それから……悲しみ。
「里佳子なら、どうしたい?記憶をデータ化して同じ記憶のまま、新しい身体が欲しい?」
「そ、そんなの……!」
悔しそうな横顔は、やがて涙を流し始めた。蚊帳の外の私は、まるでドラマのワンシーンを観ている視聴者のよう。
「先生タオル取ってき……え!リカちゃん?」
教室からタオルを取りに行って戻って来た燭が扉を開いたと同時に、里佳子は踵を返し部屋から出て行ってしまう。
泣いて出て行った里佳子の後ろ姿と私達を交互に何度も見た燭は、どういう事だと言わんばかりに困惑の表情。
しかし、私にだって涙の理由が分からないなら説明のしようがない。困惑が空気感染して、私も気持ちがゆらゆら揺らぐ。
「燭、アイツの事、追いかけてやってくれないか?」
無気力の中にたまに見せる鋭い眼差しで、美樹が燭を促した。
燭はチラリとルイを、それから私を見て、何も言わずに頷くと里佳子を追って部屋を出て行ってしまう。
何が起きたかなんて、いくら考えても分からないし脳みそが追い付かない。
「里佳子なら、どうしたい?記憶をデータ化して同じ記憶のまま、新しい身体が欲しい?」
「そ、そんなの……!」
悔しそうな横顔は、やがて涙を流し始めた。蚊帳の外の私は、まるでドラマのワンシーンを観ている視聴者のよう。
「先生タオル取ってき……え!リカちゃん?」
教室からタオルを取りに行って戻って来た燭が扉を開いたと同時に、里佳子は踵を返し部屋から出て行ってしまう。
泣いて出て行った里佳子の後ろ姿と私達を交互に何度も見た燭は、どういう事だと言わんばかりに困惑の表情。
しかし、私にだって涙の理由が分からないなら説明のしようがない。困惑が空気感染して、私も気持ちがゆらゆら揺らぐ。
「燭、アイツの事、追いかけてやってくれないか?」
無気力の中にたまに見せる鋭い眼差しで、美樹が燭を促した。
燭はチラリとルイを、それから私を見て、何も言わずに頷くと里佳子を追って部屋を出て行ってしまう。
何が起きたかなんて、いくら考えても分からないし脳みそが追い付かない。