【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
翌日、ルイはアップデートがあるから学校を休ませると父に告げられ、私と成は二人で登校した。
昨日作ったカレーは私も成も食べられなくて、それぞれの部屋に戻り今日の朝、鍋を開くと半分減っており、机には『また作って』と綺麗な文字で書かれた感想とも取れないメッセージが添えられていた。
父とルイがあれから食べてくれたのだろう。もしかしたら、あの会話を私達に聞かれていたのも全部分かっていて、ルイはそれだけ残したのかもしれない。
「ルイに直接……聞けないよな」
「そう、ですね。こんな時、里佳子はどうするのでしょう。いつでもまっすぐな彼女に今はなりたい」
無いものねだりをしても仕方が無いのに。それにそもそも、すっかり『良い性格』になったルイが素直に自分の現状を話すとは思えない。
「そう思うと里佳子って強いよな。いつでも体当たり。……でもさぁ、あれって里佳子だから良い持ち味なんだと思うけど」
成の事で色々あった時、やはりまっすぐぶつかった里佳子の事を思い出し少しだけ私達は笑顔になる。
人には、その人にしか持てない持ち味があるのかもしれない。じゃあ、私は何を持ってして私と言わしめる事が出来るのだろう。