【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
「多分……嘘だと思います。昨日あった事をお二人にもお話しなければなりませんね」


「笑里、話すのか?」


もう隠せない。隠せないし、もし私が二人の立場だったら隠される事は一番悲しいと思う。


問いかけた成にそっと頷いて二人を見れば、二人も不安混じりに私達の方を見ていた。


「教室では話しにくい事なので、場所をどこかに移しましょう。授業をサボる事になってしまいますがよろしいですか?」


「ああ、構わないよ。正直言うと俺もリカちゃんも、それどころじゃないからさ」


普段真面目な燭からは考え難い発言。それだけ彼も、ルイを大切にしてくれている証なのだろう。


「とりあえず、駅近くのファミレスに行くか?あそこなら今、受験終わりで学校来る時間まばらな三年生もいるから大丈夫だと思う」


成の一言に全員が頷き、黙って歩き出す。私達の空気は重たいまま。世界が鈍く、光っているようだ。


それだけ、私達にとってルイは大きな存在になってしまっているという事なのだろう。もう、ルイ無しには世界がキラキラと輝かないくらいに。
< 305 / 369 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop