【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
成の言う通り、ファミレスにはうちの学校の三年生だろうか、学生も数人いて特に何も言われず私達も入る事が出来た。
昨日父とルイが話していた事を思い出せる限り話し始めると、里佳子も燭も苦い顔をして俯いてしまう。
「……正直ルイを失うなら、私は『悲しみ』なんて取り戻したくありません。私には代わりに悲しんでくれる大切な人がこんなにもいるのだから、それを取り戻すのがベストだとは到底思えないのです」
全部を話し、今思うことを告げると、燭が何の前触れもなしに勢い良く立ち上がった。
「そんな事言っちゃダメだ!……君が取り戻す事をルイも、俺達も、本当は君自身だって望んでいるんだぞ!それこそ俺は悲しい。君にこの気持ちが灯らないままなんて」
燭がここまで声を荒らげる姿を初めて見た。いつも冷静な燭が、私を想って悲しんでいる。
周りがざわざわとしながらこちらに視線を向けている。肩で息をしている燭は、少し恥ずかしそうにそっと腰を下ろした。
「……燭の言う事もごもっともだがな、笑里、残酷かもしれねぇが、お前が感情を取り戻すのを止めてもルイは、多分命は長くねぇんだよ」
再び静かになってしまった私達のテーブルで、里佳子が唸るように呟く。