【完】Ｒ・Ｕ・Ｉ〜キミに、ひと雫を〜

「ルーイ、止めとけ。御堂、あんまり探られたく無いんじゃないの？な？」


やけにぴりぴりした空気を打ち破ったのは、緩やかな嶋山成の空気を読んだ一言だった。


ルイの不思議な色の瞳を目隠しし、御堂里佳子へフォローの笑顔を向けている嶋山成は、人の感情に敏感な人間且つ、思いやる事の出来る心の持ち主なのだろう。


「御堂、今日は帰っていいよ。残りはルイにも手伝わせて、俺達でやっちゃうから」


「こういう時は謝るべきかな。ごめん。嫌な思いをさせてしまったようだね」


人の心を学び始めたルイは、嶋山成の行動を頭で分析して、適切な答えを導く。


私はフォローするつもり等毛頭なかったけれど、嶋山成がその責務を果たしたおかげで、御堂里佳子の感情はゆったりと引いて行った。


「まあ……ルイは最近までジジババしかいない田舎にいたんだもんな。色々興味持って詮索しても仕方ないから許してやるよ、イケメンだしな」


「何だよー、御堂結局イケメンだから許してね？」


「ボクはナルと違って雰囲気だけじゃないからね。お父さんには感謝だね」


さっきまでの空気なんて嘘のよう。和やかな雰囲気になったのは、それこそ、嶋山成や御堂里佳子に感情があるからだと言えよう。