【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
その映像から次に切り替わったのは、白い箱の中の映像で、目の前には、何も無い空虚な幼い私。
「キミニ、カエシタイ。モラッタモノ。アイ、エガオ、ナミダモ……」
ルイは必死に、機械仕掛けの声で私に語り掛ける。それでも届かない。何も無い私は、聞こうとはしない。
「キミニフレルト、ウレシイ、ノニ、イタイ。ナキタイ、アイ、シテル」
小さなロボットだった時から、ちゃんとルイには心があった。傍に寄り添っていてくれた。
自分が犯した事すら捨てた愚かな少女は、あやつり人形にすらなれない空虚なのに、それでも愛してくれていたんだね。
何も映らない虚無な幼い私を、慈しむように小さなロボットは見つめ、映し出す。
そんな小さな身体が宙を舞う。視界がぐるりと180度変わり、目の前には、ボサボサ髪で無精髭の父の姿が映り込んだ。
父の目にも、つぶらな瞳の小さなロボットが映っている。そのつぶらな瞳は今のルイと同じ。純真で、まっさらで、何もかもが綺麗。