【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
「ずっと重荷を代わりに背負ってくれた君に、もっと酷な事をするかもしれない。……それでも、笑里の傍にいてくれるかい?」


悲しそうに目を細めた父の顔は、多分母よりは私に似ている。尋ねられれば強いて言うならそうだと答えられる程度に。


そして、そんな強いて言うなら私と似ている父は、今のルイにそっくりだ。最も、ルイはもっと清潔感のある美少年だが、造られる表情が、仕草が、投影されたのだろう。


「ヤクソク、マモル。ソバニ、イル」


「分かった。一度ちゃんとした意思を『君』に問う為に、君が意思を表せる器に移し変える。今よりも最新鋭の、だけども、このセラミックよりも脆い身体に」


小さなロボットからルイに生まれ変わる瞬間。これは私の記憶じゃなく、ルイが私に見せるルイの記憶。ルイの夢の果て。


見守りたい。君が私の目の前に現れるその瞬間を、きっちり、最後まで。


全部見て、知って、この世界から大切な人の待つ世界へと戻った時に君に伝えなければならない事を言おう。


強く抱き締めて、そして「愛してる」と。「生き抜いて。傍にいるよ」と。
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