【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
暗転し、次に切り替わる映像。切り替わりが激しくて、少しだけ疲れてしまう。
それでも見届けたいし、見届けると決めたから、まだ疲れてあちらに戻るわけには行かない。
母の暴行のせいで砂嵐が流れていた筈の視界はやたらと綺麗になっている。
綺麗になっているから分かるのは、目の前にいる父があまりにも汚らしく不衛生だという事。
「お父さん、ボクの為に頑張ってくれたのは分かるけど、汚い。お風呂に入ってくれば?」
生まれ変わった第一声なのに、それがあまりにもルイらしくて、だけども鳥の囀りのような声はまだ機械的で、可笑しくて笑いそう。今はルイの記憶を見ているから笑っても平気なのだろうけど。
「うん。流石僕と美樹君と、皆の造った身体だね。どう?思った事が言葉に出る感想は」
「思う?これが思うって事?今すぐデータベースで調べ……」
「ああ!まだ待って!君はあの身体の時のPCのままなんだ。それは本体に記録を移してからにしてくれ」
慌ててルイが動き出したのを止めた父は、急いでPCをカタカタと叩き出す。
そんな父の手を止めたのは、ルイの白い皮膚が張り巡らされた手。
「要らないよ。そんなの、ボクの記憶を持った別個体だ。ボクはそのままで良い」
「そんな、ダメだよ。君は生まれてからずっと同じHDDなんだよ?このままではすぐ壊れてしまう」
珍しく真剣な父の目にも、ルイはうんとは頷かない。頷かないどころか、視界は左右に揺れ、ルイが首を横に振るった事が分かる。
それでも見届けたいし、見届けると決めたから、まだ疲れてあちらに戻るわけには行かない。
母の暴行のせいで砂嵐が流れていた筈の視界はやたらと綺麗になっている。
綺麗になっているから分かるのは、目の前にいる父があまりにも汚らしく不衛生だという事。
「お父さん、ボクの為に頑張ってくれたのは分かるけど、汚い。お風呂に入ってくれば?」
生まれ変わった第一声なのに、それがあまりにもルイらしくて、だけども鳥の囀りのような声はまだ機械的で、可笑しくて笑いそう。今はルイの記憶を見ているから笑っても平気なのだろうけど。
「うん。流石僕と美樹君と、皆の造った身体だね。どう?思った事が言葉に出る感想は」
「思う?これが思うって事?今すぐデータベースで調べ……」
「ああ!まだ待って!君はあの身体の時のPCのままなんだ。それは本体に記録を移してからにしてくれ」
慌ててルイが動き出したのを止めた父は、急いでPCをカタカタと叩き出す。
そんな父の手を止めたのは、ルイの白い皮膚が張り巡らされた手。
「要らないよ。そんなの、ボクの記憶を持った別個体だ。ボクはそのままで良い」
「そんな、ダメだよ。君は生まれてからずっと同じHDDなんだよ?このままではすぐ壊れてしまう」
珍しく真剣な父の目にも、ルイはうんとは頷かない。頷かないどころか、視界は左右に揺れ、ルイが首を横に振るった事が分かる。