【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
「ボクはボクという一つの存在だけで、キミの全てでいたいんだ、とルイは私に言いました。満足そうに、幸せそうに。……私は、ルイの意思に従いたい。迷いはありません」


あまりにもルイが幸せそうに別れを告げたから、悲しみよりも、彼への愛しさだけが胸の奥で燻って、身体を温めている。


そんな私の声に、この場の皆も悲しみよりも穏やかな感情に包まれていた。


「唯一無二……か。ルイがそう望んだんだね。笑里に意思表示して。それなら、悲しいけれどルイとサヨナラしなきゃ、なぁ」


悲観的な感情ばかりでない不思議な感情の涙を成が流し始めると、世界がパステルカラーになって行くように見えた。


伝染するように、里佳子も、燭も、緩やかに涙を落とし、泣き始める。


夢で見たあの不思議な涙色の球体が、この場にも飛んでいる気がした。


でも、それは触れようにも、やはり触れられない。多分、もう二度とルイに触れないのと同じように。
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