【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
朝陽が昇る頃、私はいつも通りに一人で起きて、一人の部屋で制服に着替え、リビングへと足を運んだ。


やはり、昨夜のあれは夢だったのだろう。なかなかに可笑しい夢だ。


「おはよう。寝起きも同じ顔なんだね、エミリ。もしかしてキミもヒューマノイドロボットだったりしてね」


「おはようございます。そのようなジョークを言えるようになったのですね。メキメキと知識を蓄えていらっしゃる事で」


どこで手に入れたのか、花柄のフリルのエプロンを身に着けたルイは、朝から無表情で皮肉めいたジョークを言ってのける。


私もそれに皮肉で答え、良い香りを漂わせているクロワッサンとコーヒの乗った食卓を眺め、席に着く。


「ふぁぁー。おはよぉ笑里、ルイ。美味しそうだねぇ」


「おはようお父さん。ボクのアップグレードは大成功だったでしょう?」


ボサボサの髪の毛が珍しく洗われて、しっかり束ねられた父が大きな欠伸をして同じように食卓に着く。


その父に対して、とりわけ穏やかにハイトーンボイスを響かせたルイ。


まるで感情があるみたいだ。昨夜のリアルな、ルイが泣く可笑しな夢といい、ルイは本当にメキメキと人間らしくなっている。
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