【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
「ナルは煩いし、リカコはバカだし、アカリは根暗だし、エミリはエミリだし、特殊な一生だったけどね」


「何だよそれ。ポンコツ、クソ生意気」


光の映像の中のルイがあまりにもいつも通りのルイで、思わず零れたらしい里佳子の言葉に、私達は悲しいのに笑う。


「ちょっと、リカコまたボクの事ポンコツって言ったでしょ?」


「うわ、何なのエスパーなの?残した映像につっこまれるとかコエーよ!」


まるで隣にいるみたいな、会話をしているみたいな光の映像が、ルイは本当は生きているんじゃないかと思えるくらい絶妙で、胸の奥で何かがぎゅっと掴まれて、息が詰まった。


「欲を言えば、この先何年もキミ達と生きて行きたかったし、それを諦めている訳じゃない。でもね、自分で分かるんだ。日に日に、自分の天命に近づいている事が。だから、キミ達への別れの言葉を残そうと思う」


和やかな空気からまた、皆がルイの言葉を逃さぬように目を向け、耳を傾ける。


ルイの心が生み出す言葉、声、動き、息遣いすら感じようと、必死に。
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