【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
ルイはクールな性格だと言われているが、愛想が悪いわけではない。
誰に話しかけられてもちゃんと返すし、表情も日に日に増えてきている。
それは、人と接する事で人間というものの感情パターンや表情を収集し、ルイ自身のデータとして蓄積しているかららしい。
「お父さん、貴方は実は凄い人なのかもしれないですね」
「あれ?笑里に褒められた!ルイ、聞いていたかい?」
「うん。皮肉にも聞こえたけれど」
誰かと会話しながら迎える朝が、少しだけ爽やかに感じる日が来るなんて、思いもしなかった。
でも、私にはそれを幸福だと思う資格は無い。ルイのせいで、手放した世界に戻ろうとしている体を罪と罰にまみれた私の世界へちゃんと留まらせなければいけない。
深呼吸し、それを再確認して、手を合わせてルイ特製の焼きたてクロワッサンを口に運ぶ。
「ところでルイ、そのエプロンはどうしたの?随分可愛いね」
「ああ、これはクラスメイトの女子がくれたんだ。今の若い人間の男子は、こういう女物のエプロンを着てスマートフォンで写真データを残して、ソーシャルネットに掲載するのが普通なんだって」
その、幸福に満ちた世界は、たまに純粋なルイの情報に嘘を流す。それもまた、その世界の幸福なのだけれど。
誰に話しかけられてもちゃんと返すし、表情も日に日に増えてきている。
それは、人と接する事で人間というものの感情パターンや表情を収集し、ルイ自身のデータとして蓄積しているかららしい。
「お父さん、貴方は実は凄い人なのかもしれないですね」
「あれ?笑里に褒められた!ルイ、聞いていたかい?」
「うん。皮肉にも聞こえたけれど」
誰かと会話しながら迎える朝が、少しだけ爽やかに感じる日が来るなんて、思いもしなかった。
でも、私にはそれを幸福だと思う資格は無い。ルイのせいで、手放した世界に戻ろうとしている体を罪と罰にまみれた私の世界へちゃんと留まらせなければいけない。
深呼吸し、それを再確認して、手を合わせてルイ特製の焼きたてクロワッサンを口に運ぶ。
「ところでルイ、そのエプロンはどうしたの?随分可愛いね」
「ああ、これはクラスメイトの女子がくれたんだ。今の若い人間の男子は、こういう女物のエプロンを着てスマートフォンで写真データを残して、ソーシャルネットに掲載するのが普通なんだって」
その、幸福に満ちた世界は、たまに純粋なルイの情報に嘘を流す。それもまた、その世界の幸福なのだけれど。