【完】Ｒ・Ｕ・Ｉ〜キミに、ひと雫を〜
ルイお手製のお弁当をスクールバッグに詰めて、ルイと共に家を出て、学校までのバスに乗り込む。


「あの、ルイ。もう慣れて来たのならクラスメイトと登校しても良いのでは？」


混んでいるバス。やたら美しく造り出されたルイは毎日視線を浴びる。


それは、一緒にいる私もまた然り。羨望だったり、嫉妬だったり、手放した世界から、私の世界へ感情が降り注ぐような感覚。


「言ったでしょう？ボクは目的を果たす為にいて、キミの傍にいる事がそれを達成するのに一番近いって」


「そう、でしたね」


父は何の目的で、自分の技術の全てを注ぎ込んでルイを造り上げたのか。


そしてその目的の為に私といるというルイは、目的が達成されたらどうなるのだろうか。


それは、私には関係ないと思っていたけれど、実は大きく関係しているのかもしれない。


どうしてそう思えるのかと言うと、夢だったであろう昨夜のルイは、私が捨て失せた人間らしいそれを持っていたからだ。


あんな夢見なければ、こんな事を思わずに済んだのに。
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