【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
いつの間にか担任がいて、いつの間にかクラスメイトがそれぞれの席に着く。
とりわけ代わり映えしない一日が始まる。そうすると、私も人より小さな耳からイヤホンを外し、しばし必要の無いもので溢れた現実へと足を踏み入れる。
「どうせお前達の事だからもう何?拡散?的な感じで知ってると思うけど、今日から転校生が仲間入りしまーす」
「ちょいちょいミッキー!もうちょっと丁寧にやろーよそこは!」
何故教師になったのか謎の、無気力な担任の美樹昌晃(みきまさあき)と嶋山成の恒例行事のやり取りにクラスが湧く。
そんな光景を尻目に、私は頬杖を突いて窓際の前から三番目の、実は一番目立たないそこから理由も無く外を見やる。
「おーい、教室の空気はあっためたからそろそろ来て良いぞー」
「はい」
美樹の無気力な呼びかけに答えた廊下から聞こえる声は、微かだったけど世界をクリアにするような、それでいて鳥が囀るような柔らかなハイトーンの、少年の声。
興味なんて無かったのに、何でかその声の主が見たくて仕方が無くなって、いつの間にか私は教卓へと視線を動かしていた。
とりわけ代わり映えしない一日が始まる。そうすると、私も人より小さな耳からイヤホンを外し、しばし必要の無いもので溢れた現実へと足を踏み入れる。
「どうせお前達の事だからもう何?拡散?的な感じで知ってると思うけど、今日から転校生が仲間入りしまーす」
「ちょいちょいミッキー!もうちょっと丁寧にやろーよそこは!」
何故教師になったのか謎の、無気力な担任の美樹昌晃(みきまさあき)と嶋山成の恒例行事のやり取りにクラスが湧く。
そんな光景を尻目に、私は頬杖を突いて窓際の前から三番目の、実は一番目立たないそこから理由も無く外を見やる。
「おーい、教室の空気はあっためたからそろそろ来て良いぞー」
「はい」
美樹の無気力な呼びかけに答えた廊下から聞こえる声は、微かだったけど世界をクリアにするような、それでいて鳥が囀るような柔らかなハイトーンの、少年の声。
興味なんて無かったのに、何でかその声の主が見たくて仕方が無くなって、いつの間にか私は教卓へと視線を動かしていた。