【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
「それにしても、ナルが勝手に泣いて喜んでいるだけなのに、女子って凄いね。こういうの、やっかみって言うんでしょう?人間って面白いよね」


「ルイ、お願いですから御本人達には言わないで下さいね」


嶋山成のリアクションを一通り観察し終えたルイは、高性能が故に聞こえてしまうらしい外からの声に、せっかくの美貌を少しだけしかめ首を傾げる。


みるみる人間らしい表情や動きを覚えているな、とルイに対しての事は頭に浮かんだが、正直ルイが感じた、私へ向けられる『不協和音』に対しては、ちっとも考えは浮かばないのだ。


誰に対してもいわゆる塩対応なのに嶋山成に構われて、最近は美貌の転校生ルイと家族だからと共にいる事の多い私が同性から負の感情を向けられるのは、別に予想出来る事だし。


……何とも感じていないから、だから、ルイにそんな人間臭い顔をして、欲しくない。


ヒューマノイドロボットらしく無機質でいれば良いのに、どうして日に日にこのロボットは一個帯から生命体へとなろうとしているのだろうか。
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