【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
何となく居心地が悪い感じが嫌で、昼休みにはルイさえ避けてこっそりと外階段の踊り場で昼食を摂っていた。
ルイお手製の弁当は、恨めしいくらいに美味しい。もう数年も自炊をしている私の作る食事より、ルイのたった数時間で終わったアップグレードの賜物は美味しい。
「何だこの丸っこい肉巻。頂き」
「え、あ、御堂、さん」
そうして独りの世界にいたのに、また、こうやって別世界の住人が簡単に足をつっ込んで来る。
「わ、中身人参とエノキ。中のソースとふやけ具合、全部絶妙だな。この弁当、お前が作ってんのか?」
いつも取り巻きと教室で大きな声を響かせて食事を摂っている御堂里佳子が、何故こんなところに一人で、しかも私なんかの昼食を横取りしているのだろう。
不思議だ。今日は変な事が続く。ずっと夜の可笑しな夢を引きずっているよう。
「残念ながら、ルイの手作りです」
「アイツハイスペックな奴……ってん?待て待て片岡」
御堂里佳子はキツめの好みの分かれそうな愛嬌のある顔で、ころころと色んな表情を紡ぎ出す。