【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
「お前さぁ、ルイの事何も知らないとか言ってなかった?なのに当たり前のようにルイの飯食ってるって変じゃねぇ?」


「ああ……ルイ、訳あってうちにいますから。転校初日の夜に初めて一緒に暮らすのを知ったし、初対面だったので嘘はついていませんよ」


流石にルイが父親の最高傑作だなんて事は言えないけど、私は嘘をついていないから問題は無い筈。


御堂里佳子はルイをお手製のおかずを喉を鳴らして完全に飲み込むと、ふーん、と猫の鳴くような声で相槌を打った。


「あん時もそうやって言ってくれりゃ、変に絡んだりしなかったのに」


「別に、気にしてません。それに、私は御堂さんが間違った事を言っているとは思いませんし」


チラリと御堂里佳子を見て、すぐに弁当へと視線を戻して食事を再開すると、今度ははっきり、耳が痛くなるくらいの大きな笑い声が響いた。


「ホンっとお前、ムカつくわー」


言っている言葉と表情が噛み合っていない。彼女は本当に分からない人だ。


分からないといえば、嶋山成も同じ。何で、別世界のキラキラと輝くところの中心の人間が、私なんかを構うのだろう。


それが自分と違う人間に興味があるだけと言うなら、案外ヒューマノイドのルイと近いところがあるなんて、馬鹿みないな事をぐるぐると脳みそに巡らせた。
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