【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
「ところで、御堂さんは何故ここに?ご友人の皆さんは?」


「あー……いや、いつもヘーキな顔で一人飯してるお前が教室出てったから、遂にその澄ました顔崩れる瞬間が見れると思って」


いつも素直な御堂里佳子だから、嘘をつくとすぐ分かる。今言った事は多分違う。


何となく、御堂里佳子もあの空間が居心地悪いと思っていたんじゃないだろうか。そんな気がしているんだ。


これ以上詮索するのもナンセンスだと思い、私はまた昼食を食べ始める。


御堂里佳子も、持参していたコンビニの袋からメロンパンを取り出した。


「なあ片岡、どうせお前は他人の事なんて興味無いだろうから誰にも話さないだろうし、聞く気もねぇだろうから独り言、言っていい?」


「はあ……構わない、ですけど」


きっと、本当は誰かに聞いて欲しいと思う事を、御堂里佳子は話すのだろう。


それを私にあんな言い回しで切り出すのは、それによって私が気遣ったり助言をしないことへの確認だと感じる。


だから、私も構わずに昼食を食べ続け、御堂里佳子を見ることは無い。
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