【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
あの人とは、私の血の繋がった父親。


しかし父親はあまりコミュニケーション能力が高くなく、ヒューマノイドロボットの研究者であり自宅の地下のラボに篭りっきりで、たまに食事で顔を合わせる程度。


私自身、人とのコミュニケーションを不要としている為か父と住み始めて二年近く経つ今でも、深く会話をした事が無い。


私には、思い出の中の母しか本当の家族はいない。父親は血の繋がった他人だ。


祖父母は他界しており、両親共に兄弟はいなく、親戚なんていなかった筈。


じゃあ、この片岡ルイは一体何者なのだろう。『家族のようなもの』という言葉の真相は何なのだろうか。


遠縁の親戚がいるなんて、今までに聞いたことがないし、こんなに綺麗な人が親戚で、且つ会ったことがあるのなら、忘れないだろう。


でも、彼がどんな繋がりであろうが、結局私には関係ない。


だって、大切なものなんてもう私には無いし、持つ資格も無いのだから。


つまり、片岡ルイも血の繋がった他人であり、別世界の住人なのだ。
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