【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
思い出クライシス
修学旅行当日。朝からテンションの低い私とルイ、楠本燭とは対象的に、新幹線でもテンションの高い二人。
「テメェ!バナナクセェから食ってんじゃねえよボケ!」
「へへーん!今食べるのやめたらずっと臭いままだけどいいの?いいの!?」
里佳子の隣の窓際に座る私と、嶋山成の隣の通路側に座る楠本燭はこの二人のやり取りにげんなり。
別の班の男子の隣に座るルイは、この子供じみた戦いには干渉せず、固く瞼を閉じている。
父に自家発電の機能を付けて貰ったらしいルイは、移動の間はああして寝ている様な風貌で体内にエネルギーを充電することで、この二泊三日をやりくりするようだ。
「なあルイ!御堂ったら相変わらず煩いよーなあなあ!」
そんなルイの事情なんてなんのその。嶋山成はルイの肩を立ち上がりグイグイと揺する。
なかなか反応を示さないルイに、嶋山成も粘りを見せて、根気強く続ける、不毛な行動。
すると、ルイが不意にカッと瞼を開いて嶋山成を見上げた。