【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
「なーるぅー!また片岡さん口説いて玉砕してるだろー!ダッセー!」


「うるせー!待ってろ!ぶん殴る!そこから一ミリも動くなよ!」


真剣な話をしている中、嶋山成は他のクラスメイトに呼ばれてすぐさまいつもの嶋山成に切り替わってその輪に入って行く。言葉は怒っているようなものだが、怒りは無く代わりに楽しそうに。


嶋山成の本質は、あちら側なのか、それともさっきの影のある強い瞳の方なのか。どの道私には、嶋山成という存在は強烈過ぎて、噎せ返るような感覚だ。


「エミリ、深く考えない方が良いと思う。ボクにもナルの事は分からない。……許可さえ貰えれば、いくらでも調べる事は可能だよ。あらゆるネットワークを駆使してね」


いつの間にか隣に来ていたルイは、すっかり感情を声に込めるのが上手くなったと思う。


多分、ルイにとっての『目的』に、嶋山成が関わってくるんじゃないだろうか。だから、ルイにとっても嶋山成は深く知る必要のある存在なのだろう。


そうでなければ、ヒューマノイドロボットのくせに、あんな考えるような顔、しないでしょう?
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