【完】Ｒ・Ｕ・Ｉ〜キミに、ひと雫を〜

「とりあえず、ルイは今は動かないべきです。エコモードなのでしょう？調べるにしても、修学旅行が終わってからにしましょう」


「そうだね。解析にはエネルギーを多く消化するから。今のボクは自家発電と太陽光発電で、フルで動けないし」


そう言うと、ルイは両手を顔の横に掲げ、文字通りお手上げのポーズを取って見せた。


「ルイはおどけるような顔はまだ苦手なようですね。総合得点は五十点くらいです」


「そう。もう少し練習してみるよ」


答えたルイの声は、ヒューマノイドらしい機械的な声。


ヒューマノイドのルイにこんな言葉を使うのが正しいかは良く分からないけど、これがルイの本質の、素のような気がして安心すらしてしまう。


「おーい、片岡もルイも、家族会議してないで早く行こー！」


会話自体は嶋山成の呼びかけによって終わってしまったが、そんな思いを抱いてしまった自分が不思議で、腹の奥がもやりとした。