【完】R・U・I〜キミに、ひと雫を〜
……というのが、朝に思っていた事なんだけれど。
普段は表情一つ変わらない私に対して腫れ物を扱うような態度のクラスメイトが、美しい転校生『片岡ルイ』を知りたいが為にひっきりなしに話しかけて来て、正直疲れて帰って来た私。
地下に篭りきりの父はこの時間にはいないから、いつもは実質独りの北欧家具に囲まれたリビングへいつものように足を運んだのだけれども。
とりわけ気に入っている緑色の脚付きソファーには、華奢なフォルムの先客が存在している。
それだけで異常な光景なのに、異常さはそれだけにはとどまらない。
長い脚を折り畳んで膝を抱え、長身だが華奢な体はすっかり小さくなったその人物。
微動だにしない体の上半身は何も纏っておらず、その白く、シルクのようにきめ細かな肌は惜しげもなく晒されており、肌面積の一番広そうな背中から、太長い管が幾重にも伸び、そのうちの一つが、電源コンセントへと繋がっていた。
このような光景が、一般家庭に広がっているというのは非常識だ。それが、一般家庭の話であるなら、だけれど。